毛のない滑らかな肌を目指すのにかかせないのが、医療脱毛による永久脱毛です。しかし、医療脱毛を行うとごくまれに「硬毛化」という副作用が起こることがあり、脱毛することでかえって毛が硬くなったり、目立つようになってきたりします。
原因もはっきりとはわかっていない硬毛化ですが、どのように対処すればよいのでしょうか。
この記事で、脱毛で硬毛化した時に備えて学習しておきましょう。
この記事を読むことで、医療レーザー脱毛の「硬毛化」について理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
- 医療レーザー脱毛でなぜ「硬毛化」が起こるのか
- 「硬毛化」になりやすい人や部位は?
- 「硬毛化」した場合の対策やケア方法
目次
医療レーザー脱毛で起こる「硬毛化」とは?
硬毛化とは、レーザー脱毛した後、脱毛をする前よりもかえって毛が太くなる現象のこと。
1つ1つの毛が硬く、太くなってしまうと、毛の量自体が多く見えたり、休止期に入っていた毛穴から新しい毛が生えてくることもあるので「増毛化」と呼ばれることもあります。しかし、実際は毛穴の数は生まれつき決まっているので、毛の数は変わりません。
医療レーザー脱毛で硬毛化が起きるのは、100人に1人と言われています。発症する確率はとても低いですが、起こった時に驚かないようにあらかじめ知っておくことはとても大切です。
また、医療レーザー脱毛だけでなく、エステ脱毛(光脱毛)や家庭用光美容器・脱毛器によるお手入れでも起こる可能性があります。そのため、「硬毛化が怖いからエステ脱毛のほうがいい」というわけではないので注意が必要です。
なぜ「硬毛化」は起こるの?
では、どうしてレーザー脱毛で硬毛化するのでしょうか。硬毛化する原因ははっきり解明されていませんが、以下の2つの説が有力です。
1つ目は、「レーザー脱毛で毛の再生組織が不完全にダメージを負った場合、再生組織が刺激されてしまい、かえって毛の成長を早めてしまう」とする説。
レーザー脱毛でも光脱毛でも、毛の発育組織である「毛乳頭」周辺のメラニン組織に熱エネルギーを発生させて、毛乳頭にダメージを与えることで「永久脱毛」していきます。しかし、熱エネルギーの与え方によっては、かえって毛乳頭での発育を刺激してしまうことがあり、これによって硬毛化が起こったのではないかとされています。
2つ目は「レーザー脱毛で毛乳頭を刺激し、毛のサイクルが早まった」とする説。
毛はいつも同じように見えますが、「成長期➡退行期➡休止期」の3つの時期をグルグル回っています。これを「毛周期」といいます。
毛周期の中で一番長いのは「休止期」の時期ですが、レーザー脱毛や光脱毛で熱エネルギーを与えると、休止期に入っていた毛がかえって刺激されて、稀に成長期に移行し、毛が硬く太くなっていくのではないかとされています。
繰り返しになりますが、いずれの説にしても細胞の分裂組織である毛乳頭に刺激を与えた結果になるので、毛乳頭に刺激を与える施術なら、医療レーザー脱毛・エステ脱毛(光脱毛)・家庭用脱毛器のいずれの方法でも起こりえます。
硬毛化になりやすい人はいるの?
では、どのような人が脱毛で硬毛化しやすいと言われているでしょうか。例えば、次のような方が、硬毛化しやすいと言われています。
毛根が深い場所にある
毛根は、通常は皮膚表面から3.5㎜~2㎜程度の深さにあります。しかし、毛根の場所は実は個人差が大きい場所です。中には、通常の方よりも深い場所に毛根がある方もいます。
そして、毛根が深い場所にあるほど、脱毛機器のライトやレーザーが届きにくくなってしまいます。
通常、光脱毛にせよ、レーザー脱毛にせよ、毛根の周りにあるメラニン色素に着目し、毛根に熱エネルギーを介してダメージを与えることで、毛根から脱毛を促していきます。しかし、毛根が奥深くにあると十分なエネルギーが加わらず、毛根が変に刺激されてしまう結果になることも考えられます。
すると、中途半端に刺激された毛根がかえって硬くなる「硬毛化」が起こるというわけです。
体毛がもともと薄い方
硬毛化は一言でいうと「中途半端に毛根が刺激された結果」起こるとされています。
硬毛化は、メラニン色素が多く反応しやすい「毛が濃くて太い部位」では、ほとんど起こりません。逆に、メラニン色素が少ない、「毛が薄い、細いなどの産毛」に起こりやすいとされています。これには、メラニン色素が少なく脱毛に十分な熱エネルギーを発生させにくいといった理由があります。そのため、体毛が薄く、全体的に産毛が多い方に起こりやすいのです。
産毛は脱毛機に対する反応が弱く、反対に毛根が刺激され活性化してしまうために、硬毛化しやすいとされています。結果、元から生えている毛がそんなに濃くなく、目立たないような人は、毛が濃い人よりもリスクは高くなってしまいます。
毛の密度が高い・凹凸が激しい
元々の毛の量が多く密集している方は、硬毛化になりやすくなる可能性もあります。
なぜなら毛の密度が高いと光やレーザーの照射が均等に当たらずに、きちんと照射できていないムダ毛が出てくる場合があるからです。照射が不十分な毛は、硬毛化してしまう可能性も高くなります。
同じ理由で凹凸が激しい顔などの部位での照射でも、硬毛化が起こる可能性があります。
硬毛化になったら、そのままレーザー脱毛を続けた方がよいの?
では、稀ながらかえって毛が目立つようになってしまう「硬毛化」ですが、起こってしまったらレーザー脱毛をそのまま続けた方がよいのでしょうか?
結論からいうと「レーザー脱毛は続けた方がよい」です。
それには、次のような理由があります。
照射をやめても脱毛までの時間を先延ばしにしているに過ぎないから
硬毛化対策のために照射をやめてしまうと、当然照射されて脱毛されるはずだった場所も脱毛されなくなってしまいます。すると、脱毛完了までの時間も長期化してしまうのです。
レーザー脱毛を続けることで硬毛化を改善する可能性があるから
毛乳頭が不完全に刺激されて起きると言われているのが「硬毛化」。
それなら照射を続けて、不完全ではなく、きっちり熱エネルギーを毛乳頭に与えてあげることにより硬毛化を防ぐことができます。照射を続けると、レーザーが反応する毛根組織の黒い色素面積が増えるため、照射後の効果が現れやすくなります。
ただし、硬毛化した毛を元の状態に戻すためには、通常以上の施術回数が必要になることもあります。どれくらいの期間になるかは人によって異なりますので、カウンセリングの際にご不安な点は確認しておくようにします。
硬毛化を改善するための他の対策法
「レーザー脱毛をずっと続けているけど硬毛化が治らない」・・・
そんな方もご安心ください。
例えば、次のような方法を試すことで硬毛化を改善する可能性があります。
レーザー照射のやり方を変える
実は、レーザー脱毛と一言でいっても、使うレーザーの種類や照射方式によっても様々あります。
例えば、レーザーの種類も「アレキサンドライトレーザー」「ダイオードレーザー」「YAGレーザー」と主に3種類ありますし、組み合わせた脱毛方式もあります。
例えば、深い毛に十分熱エネルギーが与えられず硬毛化してしまった場合、より波長の長いレーザーを使うことで熱エネルギーを与え、硬毛化が改善する可能性があります。
ニードル脱毛に切り替える
他の脱毛方法として「ニードル脱毛」という方法もあります。
ニードル脱毛とは、ムダ毛一本一本に電気を流して、毛根を直接破壊する脱毛方法のことです。より確実に脱毛できる方法として知られていますが、1つ1つ毛穴に針を差し込んで電気を流すため、痛みが強く、高額になってしまう点が欠点です。
しかし、硬毛化した毛は少数であることが多いため、ニードル脱毛をすることで、確実に硬毛化した毛を処理するという方法を検討しても良いでしょう。
どのような方法を実際とるかは、硬毛化された状態によっても大きく異なります。いずれにせよ今まで通われていたクリニックに相談していただき、方針を決めていくとよいでしょう。
【まとめ】脱毛で硬毛化になりやすい人と部位は?脱毛を続けて治すが正解?
今回は、レーザー脱毛で稀に起こる「硬毛化」について、ご紹介していきました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
- 硬毛化とは、レーザー脱毛や光脱毛を行ったのに、かえって太く硬い毛が生えてしまい目立つようになってしまう副反応の1つ
- 硬毛化は、はっきりとしたメカニズムは分かっていないが、不完全に毛乳頭を刺激してしまった結果、硬毛化が起きるという説が最も有力
- 硬毛化しやすい人は「毛の密度が高い方」「毛根が深い方」「元々の体毛が薄い方」
- 硬毛化は、続けてレーザー脱毛を行うと改善することがある。さらに、レーザー脱毛方式を変えたり、ニードル脱毛に切り替えることで対策をとることができる
レーザー脱毛や光脱毛後の「硬毛化」について不安な点があったら、ぜひ事前のカウンセリングなどで伝えておくとよいでしょう。また、万が一に硬毛化が起きてしまった時の対応もしっかりしておきたい場合は、医師が在籍する医療脱毛を提供する脱毛クリニックを選択しておくと安心です。
参考文献
BOUZARI, NAVID MD; FIROOZ, ALI REZA MD. Lasers May Induce Terminal Hair Growth. COMMUNICATIONS AND BRIEF REPORT. 32(3):p 460, March 2006. https://journals.lww.com/dermatologicsurgery/Citation/2006/03000/Lasers_May_Induce_Terminal_Hair_Growth.23.aspx, (参照 2023-1-12)