医療レーザー脱毛と一言でいっても、クリニックによって全く異なるのをご存じですか?
照射方法やスケジュールも違うこともありますが、最も大きな違いが医療レーザー脱毛機の種類。
実は肌質や毛質によって、脱毛施術に適切な機器は変わるので、個人個人に合わせて適切な医療レーザー脱毛機器は異なるのです。そのため、クリニックや医療脱毛に使われるレーザー機器選びが、後々の副反応や効果の違いに大きな影響を与えるのは間違いありません。
しかし、実際にどのようなレーザー機器が自分にあっているか知っている方は少ないですし、そもそもどのようなレーザー機器があるかすら知らない方がほとんどではないでしょうか。
この記事では、医療脱毛初心者でもわかるように、医療脱毛に使われるレーザー機器の種類についてわかりやすく解説していきます。
この記事を読むことで、医療脱毛に使われるレーザー機器の種類について、下記のような疑問や悩みを解決します。
- 医療脱毛に使われるレーザーの大まかな分類について理解できる
- 医療脱毛の大まかな照射方法を理解することができる
- 医療脱毛に使われるレーザー機器の種類について理解できる
目次
医療レーザー脱毛機の違いとは?
医療レーザー脱毛機といっても、脱毛方式やレーザーの種類、その他クーリングシステムなど様々な種類があります。特に注目すべきは「脱毛方式」と「レーザーの種類」です。
脱毛方式は、大きく分けて「熱破壊式」と「蓄熱式」の2種類に分けられ、レーザーの種類は「アレキサンドライトレーザー」「ダイオードレーザー」「ヤグレーザー」の3種類に大きく分かれます。脱毛機によっては、これらのレーザーを組み合わせることになります。
つまり、全ての脱毛機は「脱毛方式:2種類」×「レーザーの種類:3種類」で6パターンに分けられることになりますね。
ここから先、さまざまな機種を紹介しますが、「どういう脱毛方式なのか」「どういったレーザーを使っているか」を踏まえて紹介していきます。
医療レーザー脱毛機は熱破壊式と蓄熱式の2種類に分けられる
機種によって「熱破壊式レーザー」か「蓄熱式レーザー」かが決まっていることがほとんどなので、機種ごとの脱毛方式を確認することはとても大切です。
それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
熱破壊式レーザーとは
熱破壊式レーザーとは、高出力のレーザーを照射して発毛組織(毛乳頭・毛母細胞)にダメージを与えていく照射方法のこと。
熱破壊式レーザー脱毛では、メラニン色素に反応しやすい波長の光だけを抽出して照射することで、毛根周囲のメラニン色素に反応して、毛根にダメージを与えていきます。直接毛根に作用するので、短期間で脱毛効果を発揮しやすいのが特徴です。
ただし、毛根は奥深いので多少痛みがでやすいことがデメリットとしてあり、脱毛機器ごとに痛みを緩和させるさまざまな工夫がされています。
そのため特に
- 脱毛効果を早く実感したい
- 短期間で永久脱毛をしたい
- 多少の痛みなら我慢できる
といった方などがおすすめになります。
蓄熱式レーザーとは
蓄熱式レーザーとは、低出力のレーザーを照射して毛根にあるバルジ領域(毛の生成を促す司令塔)をターゲットに照射する方法のこと。
バルジ領域とは、毛の栄養や成長を司る部分で、毛根にかかせない領域のことを言います。また、バルジ領域は毛根よりも浅い層にあることが特徴です。
そのため、バルジ領域をターゲットにすることで、低出力のレーザーでも時間をかければ徐々に毛が抜けるのではないかと考え、考案されたのが「蓄熱式レーザー脱毛」です。
時間はかかりますが、低出力のため、痛みが熱破壊式よりも少ないのが特徴になります。
特に
- 痛みに弱い方
- 時間に余裕があり、来院する回数が増えても問題ない方
は、蓄熱式レーザー脱毛の方がおすすめです。
医療レーザー脱毛で使われるレーザーの種類は大きくわけて3種類
さらに、レーザー脱毛機器はレーザーの種類によって「アレキサンドライトレーザー」「ダイオードレーザー」「ヤグレーザー」の3種類に分かれています。
アレキサンドライトレーザー
アレキサンドライトレーザーとは、アレキサンドライトという宝石を用いて755nm(ナノメートル)という波長を出し、メラニン色素に反応させるレーザー光のこと。もっともメラニンに対しての反応が強く効果を発揮しやすい反面、波長が短いため比較的浅い層の部分にしか反応しないのが特徴です。
部位によっては、深い層からしか毛根が生えてこない体毛もあり、アレキサンドライトレーザーで脱毛できない体毛があることがデメリットです。
ダイオードレーザー
ダイオードレーザーは3種類のレーザーの波長のうち「808nm」という中間の波長をもつレーザーです。そのため、レーザーの性質としても3つのうちの中間に位置します。
まず、メラニン色素への反応も「中間」です。アレキサンドライトレーザーよりは反応は少ないものの、ヤグレーザーよりは高い反応を示します。さらに、肌への浸透しやすさも「中間」です。裏を返せば、幅広い毛質・肌質に対応していることが一番の特徴で、産毛への照射もしやすいです。
このようにダイオードレーザーは、肌質や毛質を選ばず照射することができ、バランスのとれたレーザーといえます。しかし、逆に「中間」なので、「この毛には一番効く」とはいえず、オーソドックスな選択肢として挙げられますね。
ヤグレーザー
ヤグレーザーはアレキサンドライトレーザーやダイオードレーザーと比べて波長が長く、皮膚の深部にある毛を作る組織まで熱(エネルギー)を届けることができるレーザーです。また、ヤグレーザーは、メラニンへの吸収率が低いのも特徴のひとつ。
そのため、メラニン色素への反応が悪く、エネルギー出力を高めないといけないので、それなりに肌へのダメージを与えてしまいます。
しかし、波長が長いということは深部への到達率が高いということ。すなわち、深い根深い毛にも対応していることが一番のメリットになります。また、日焼け・色黒肌や色素沈着のある部位にも照射が可能とされています。
医療レーザー脱毛機の種類と特徴
前述のように「脱毛方式」「レーザーの種類」によって大きく効果が異なるのがわかったのではないでしょうか。
次は、それぞれのレーザー機器についてみていきましょう。
ジェントルレーズプロ
ジェントルレーズプロは、「波長755nmのアレキサンドライトレーザーを照射する熱破壊式のレーザー脱毛機器」になります。
そのほか、非常に強力な冷却システムと最大24㎜の照射口により、肌のダメージを最小限に抑えながらスピーディーに照射できるのが特徴です。
ジェントルマックスプロ
ジェントルマックスプロは、「波長755nmのアレキサンドライトレーザーと波長1064nmのヤグレーザーを使い分けて照射するレーザー脱毛機器」のこと。冷却システムと24㎜の幅広い照射口により、幅広い毛に対してスピーディーに対応できます。
ジェントルレーズプロとジェントルマックスプロの違いは、扱うレーザーの種類です。
ジェントルレーズプロはアレキサンドライトレーザーだけに対して、ジェントルマックスプロはアレキサンドライトレーザーとヤグレーザーを使い分けることができます。
そのため、ジェントルマックスプロは幅広い毛に対応することができ、独自のハンドピースにより、効率的に脱毛できるレーザー機器になります。
ソプラノプラチナム
ソプラノプラチナムは、蓄熱式脱毛方式の医療レーザー脱毛機の1種です。
ソプラノプラチナムの一番の特徴は、対応するレーザーの幅広さにあります。先ほど紹介したダイオードレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザーの3種類を同時照射できるのです。そのため、様々な毛質や肌質にもアプローチすることができます。
ただし、ソプラノプラチナムは蓄熱式。そのため、熱破壊式よりも時間がかかるので注意が必要です。
ソプラノアイスプラチナム
ソプラノアイスプラチナムも主にダイオードレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザーの3種類を同時照射するタイプの脱毛機器。
そのため、さまざまな肌や毛に幅広く対応しています。ソプラノシリーズは基本的に蓄熱式なので、脱毛されるのに時間がかかるのは従来機種とかわりません。
ソプラノアイスプラチナムのハンドピースには、コンタクトクーリングと呼ばれる強力な冷却装置が搭載されており、レーザーの熱による痛みを軽減しながら照射することが可能です。
ソプラノチタニウム
ソプラノチタニウムは、2019年にイスラエルのAlma Lasers社が開発した蓄熱式のダイオードレーザー脱毛機です。
ソプラノチタニウムのレーザー光の波長は、他の機種と同じようにダイオードレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザーの3種類のレーザー光を同時に照射します。そのため、さまざまな肌や毛に幅広く対応しています。
ここまで書くと「従来の機種とどこが違うの?」と思われるかもしれません。しかし、違うのは施術時間。
ソプラノアイスプラチナムはハンドピースの照射面積が2cm×2cmなのに対し、ソプラノチタニウムは4cm×4cmと倍の大きさになっており、照射スピードもソプラノチタニウムの方が速いです。
そのため、ソプラノアイスプラチナムよりもソプラノチタニウムの方が施術時間が短時間で済むのが一番の特徴ですね。
メディオスターNexT PRO
メディオスターNexT PROは、メディオスターシリーズの第5世代で、2014年に発売されたレーザー脱毛機器の1つです。
メディオスターNeXT PROは、蓄熱式を採用しているレーザー機器の1つです。メディオスターNexT PROは、940nm(ダイオードレーザー)のレーザー照射機となっています。また、複数あるハンドピースを取り換えることで、脱毛部位に応じて照射面を広くしたり狭めたりすることができるのも特徴です。
メディオスターモノリス
メディオスターモノリスは、蓄熱式脱毛機として知られるメディオスターシリーズの中で、2020年12月には有効性・安全性のある医療機器として厚生労働省の薬事承認を受けた機器の1つ。
熱破壊式と蓄熱式を切り替えできたり、ダイオードレーザーの中でも808nmと940nmの2波長を同時にブレンドして照射することが可能なため、一般的なダイオードレーザーよりも肌のより深い所までレーザー照射できるのが特徴となっています。
メディオスターモノリスとメディオスターNeXT PROのとの最大の違いは、照射スピードです。1発あたりの照射で時間がかからず、施術時間を短くできます。また、360度全方向型冷却システムを搭載し、痛みが少ないのも特徴の1つです。
ライトシェアデュエット
ライトシェアデュエットは、「波長805nmのダイオードレーザーを照射する熱破壊式」のレーザー脱毛機器。また、ライトシェアデュエットのもう1つの特徴として「ハンドピース」といって、実際に照射するための器具が2つ搭載されていることが挙げられます。
小回りの利く「ETハンドピース」と効率よく照射できる「HSハンドピース」があるので、脱毛部位に適したタイプを使い分けできます。
非常に多くの施設で利用されているため、臨床実績が豊富なのも特徴の1つですね。
スプレンダーX
スプレンダーXとは、20年以上の歴史があるルミナス社からの最新機種で、アレキサンドライトレーザー」「ヤグレーザー」と2種類の波長を同時に照射できる、熱破壊式のレーザー脱毛機器です。
さらに、スプレンダーXは、アレキサンドライトレーザーとヤグレーザーの割合をカスタマイズすることができるのも特徴の1つ。2種類のレーザーそれぞれの出力・パルス幅を設定することができ、一人ひとりの肌や毛質に合わせてカスタマイズできるので、一番効率的な施術を行うことが可能な機種となっています。
クリスタルプロ
クリスタルプロはダイオードレーザーを搭載したレーザー機器で、一番の特徴は「熱破壊式と蓄熱式を切り替えられる」こと。
ダイオードレーザーは中間のレーザーなので、幅広い毛や肌に対応しながら、部位に合わせて脱毛方式を変えることができ、より細かく毛質・肌質に合った照射が可能です。
さらに、クリスタルプロは照射スポットに対する強力な冷却システムを搭載しているのもポイント。そのため、肌への負担も大幅に軽減されています。
クラリティツイン
クラリティツインには、アレキサンドライトレーザーとヤグレーザーの2種類のレーザーが搭載されているレーザー脱毛機器です。
クラリティツインの特徴は、フラットトップビーム技術という、照射するレーザーの強さを円の中でほぼ均一にするという技術が搭載されている点。また、スポットサイズが9種類あるので、レーザーの直径を細かく調節することができます。
このようにスポットサイズを調節しながら均一に患部に到達することから、不要に出力を上げる必要がなく効果を得ることができます。
2種類のレーザーと直径の使い分けにより、様々な肌の状態に対応できる医療脱毛機器になります。
ラシャ
ラシャは、ダイオードレーザーを熱破壊式と蓄熱式に切り替えながら照射することが可能なレーザー機器の1つです。
メディオスターシリーズと似ていますが、剛毛はもちろん産毛にも高い効果を期待できるとされています。また、VIOなど濃く太い毛が多い部位は熱破壊式で照射、顔など薄く細い毛が多い部位は蓄熱式で照射といったように部位ごとに切り替えられるので、1台で非常に高い効率性を実現できます。
ベクタス
ベクタスは、ダイオードレーザーを照射する熱破壊式のレーザー機器です。
しかし、ベクタスは従来のダイオードレーザーとは異なり、レーザーの出力を調整して照射することができます。この出力調整機能は、日焼けした方や肌が黒い方だけではなく、敏感肌・乾燥肌・アトピー肌など、一人ひとりの肌の条件に合わせて最適な照射をすることができます。
また、ベクタスの一番の特徴は、スキンテルと呼ばれる肌のメラニン量を測定するメラニンチェッカー機能が搭載されていること。そのため、肌や毛のメラニン量を数値化しながら、出力調整を行うことができます。
【まとめ】医療脱毛に使われるレーザー機器の種類を徹底比較
この記事では、医療脱毛に使われるレーザー機器の種類についてご紹介していきました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
- 様々なレーザー脱毛機器があるが、「脱毛方式」と「レーザーの種類」が一番重要
- レーザーの種類は「アレキサンドライトレーザー」「ダイオードレーザー」「ヤグレーザー」の3種類があり、機種によっては組み合わせたものがある
- レーザーの脱毛方式は大きく分けると「熱破壊式」と「蓄熱式」の2種類。熱破壊式の方が直接毛根に作用するため効果が高い分、痛みを伴いやすい特徴がある。蓄熱式はバルジ領域を通して間接的に毛根にダメージを与えるため、強い効果ではないが照射時の痛みが少ない
- 現在医療機関で使用されるレーザーとしては、「ジェントルレーズシリーズ」「ソプラノシリーズ」「メディオスターシリーズ」「ライトシェアデュエット」「スプレンダーX] 「クリスタルプロ」「クラリティツイン」「ラシャ」「ベクタス」などが挙げられる。
ぜひ、医療脱毛クリニックでの施術についてカウンセリングを受ける際には、レーザー脱毛機器についても着目してみてください。ご自身の肌質や毛質に合ったレーザー脱毛機器が見つかるかもしれません。